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「……へぇ」
『期待するだけ無駄だ』と思っていたせいか、知らず知らずのうちに口角はどんどん上がる。
「で、どうするの?」
ゆずを膝の上に乗せ、ソファーに深く沈んで尋ねた俺は、落ちてきた前髪をかき上げる。
黒縁眼鏡はテーブルの上。帰った時に外したままだ。
「どうする……って」
勢いで跨ったはいいがそこから先に進む度胸はまだなかったんだろう。
スカートから出た足を撫でてやると「っひゃ」と声を出し、慌てて俺から身体を離した。
「おっと」
背中から落ちそうになったゆずの腰に手を回し、支える。
「ゆずの本気ってそんなもん?」
クス。と笑い、怯えた顔に唇を近づけた。
からかう気持ち半分。
この時は別に逃がしてやってもいいと思ってた。
そのくらいの余裕はあった。
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