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[地球の諸君、突然の事でさぞや動揺している事と思う。我々はこの地球より500万光年離れた銀河のとある惑星から来た者だ。キミ達の言うところの宇宙人や異星人といった認識をしてくれて構わない]
[我々は人類の誕生から今日までこの星を密かに観察させて貰っていた。諸君ら祖先が知恵をつけ進化していくのと同じように、文明もまた歴史を積み重ねる事に進歩していき、特にここニ百年で人類の生み出した技術は著しく発展した。情報技術、医療技術、バイオテクノロジー、ロボット工学、兵器開発、そして宇宙への進出。我々はこの星の文明は銀河系にある惑星の中でも比較的高度なレベルにまで達したと判断し、こちらから接触を試みる運びとなった]
[ついては今から一週間後、この星の代表者との会談を要求する。会談内容は、この星の“行く末”について]
それまで上空を見上げていた人々はスクリーンから目を切り、近くにいる者と顔を見合わせた。
[このままこの星を維持するべきか。それとも滅ぶか。二つに一つだ]
生唾を呑む者。顔を伏せる者。膝を着く者。ただただポカンとする者。宇宙人のメッセージを受け取った人々は様々な反応を示した。
[さて、この星では各地に複数の権力者が存在している。その中から代表を決めるのも相当な時間を有する事だろう。そこで、こちらで代表者を無作為に選出させて貰う事にする]
するとスクリーンは宇宙空間の映像に切り替わり、人型のロボットが映し出された。
[この我々が作り出した人工衛星の中にはこの星の全人類のデータが収められている。その中からランダムで一人を選出させる。選ばれた者がこの星の代表である。なお、言語能力が未熟な生後間もない赤子や障害を持つ者は対象外とする]
文字の流れが途切れると、人型人工衛星の目が光を放った。
『ジンルイルーレット、スタート』
抑揚の無い声で合図すると、胸部に取り付けられたモニターに、目まぐるしく変化していく人類の顔写真が映し出され始めた。
人々は地球の命運を握る人間は誰になるのか、どうか自分にはならないでくれと、固唾を呑んで見守った。
徐々に変化するスピードは遅くなり、やがて一人の男の顔で止まった。
『チキュウジンダイヒョウハ--』
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