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「ほら、和己(かずみ)。起きて! おばあちゃんちに行くわよ」
「ええ、面倒くさーい」
お母さんに叱られて、しぶしぶうなずいて和己は起き上がった。今日から数日はレスリング部もお休み。
あの屈辱的な日も過ぎた夏休み。
電車に揺られて二時間、ようやくついたところはすこぶる田舎だった。
「小さいときから楽しいと思ったことなかったんだよね。っげー田舎」
「ほら、しゃんとして! もうすぐお坊さんがやってくるから」
などと畳の部屋でやっていたら、おばあちゃんがスイカを運んできてくれた。
「かっちゃん、よく来たの。なーんもないけど、まあゆっくりしてってなー。坊さんが来たら正座で座っていなきゃならんけども」
お母さんとおばあちゃんはふたりでやりとりしている。退屈でしかたなかった。
「あ、スクーターの音。来たんじゃない、お坊さん」
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