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それは、ずっとずっと昔のこと。
妖怪の姿を見られる人間がほんの一握りしかいなかったころ。
妖怪が森も人里も関係なく蔓延っていた時代。
そんな時代を生きた彼は、名前がなかった。
名前のない彼は、とても強かった。
名前のない彼は、とても冷酷だった。
――――――名もなき彼を知らぬ者は、いなかった。
名もなき彼は、畏怖をこめて通り名をつけられた。
“白い悪魔”、と。
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