第1章

4/4
300人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「いいんです。今は仕事が恋人ですし、一生独身でもいいと思っているので」 「逞しいな。そんな西蔵に、朗報だ」 ニヤニヤとした表情になった渡中さんに、私は咄嗟に背筋をピンと伸ばす。 「な、なんですか…」 「まあ、そんなに身構えるな。 今度、ウチと経営企画部の合同プロジェクトが始まるのは知ってるか?」 「本当だったんですね、それ」 私が配属しているのは、経営戦略部。 その中でも、私は主にマーケティングを担当している。 指定された企画やその調査、集客計画やコストダウンまで、幅は広いけれど充実した日々を送っている。 そして私が風の噂で聞いたのは、会社の華型である経営企画部との合同プロジェクト。 なんでも、随分と大掛かりなものらしい。 「まあな。それでな…」 ガサゴソと身辺を漁る渡中さんは、やがて数枚の資料を持って私のデスクへやって来た。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!