138人が本棚に入れています
本棚に追加
そこに先ほどまで感じていた視線はなく、巨大な桜の幹の前で思わず首を捻る。
(やっぱり、人には見えないのかな?)
諦めて屋敷に戻ろうとした時、
「ひっく」
頭上から間の抜けたしゃくり声が聞こえ、天を仰ぐ。
「!」
視界に飛び込んできたものの姿に、白月は目を見開く。
そこにいたのは、淡い紺色の着物に赤紫色の羽織を着た、一人の青年だった。歳は見たところ、弥一と同じ二十五、六くらいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!