逢魔が刻

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 1  ――四月。  黄昏時、畦道を歩く一人の子供。  夕藤 白月(ゆうふじ しろつき)。齢五歳ほどの彼は、他のどの子供とも違う真っ白な髪と青い目を有していた。 「!」  橙色の夕焼けのせいだろうか。それとなく視線を感じた白月は、背後に聳える山を見やる。 (今、なにかいたような……)  だがそこに人の姿はなく、ただ見慣れた自然ばかりが広がっていた。  幼いながらに不思議と思い、畦道に突っ立ったままこてんと小首を傾げる。  
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