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「ねぇ、あのお山にだれかすんでるの?」
すると弥一は順調だった歩みをぴたりと止め、振り返り言った。
「いえ。ただ、このような逢魔が刻には物の怪などが現れ易いのです」
「おう、ま……が、どき?」
聞き慣れない言葉に、白月は、ただでさえくりくりとした両目で弥一を見上げ辿々しく繰り返した。
弥一はひとつ頷き、それが人ではないよくないものだと伝える。
「だから弥一は坊っちゃんが奴らに取って食われぬよう、側にいなくてはいけないんです」
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