逢魔が刻
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もしかしてあれが弥一の言っていた『物の怪』なのだろうか。 しかし“それ”は一向に近づいて来る気配もなく、ただじっと佇んだままでこちらを見ていた。 幼心、白月には“それ”が悪いものとは思えず、こちらを見ているだろうその影から目が離せなかった。 ひゅう。ほんの一瞬凪いだ風に瞬きをする。再び目を開けた時、今までそこにあったはずの“それ”の姿は忽然と消えていた。 **
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