1208人が本棚に入れています
本棚に追加
間宮は、それ以上の答えを待ってるみたいで、じっと私を見つめたままだ。
「……そんなんじゃなくて、これはもっと前から」
そう言って、今度こそ受話器を手に取った。
内側にプッシュボタンの付いているタイプで、9のところに「フロント」とシールが貼ってある。
その数字に、指を充てた時。
「ほんとに帰んの?」
また、ベッドが揺れた。
俯いていた顔を上げれば、起き上った間宮の顔がすぐ目の前にあり。
警戒心が、どういうわけか働かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!