ままにならぬが浮世の常-2

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身動き出来ずに、目を瞬く。 「迷うなら、帰んないで」 「迷ってるわけじゃ…」 「帰んないで」 切なく囁く、伏せられたその瞳に見入るうち、手にした受話器に男の手が添えられる。 かすかに、発信待ちの電子音。 取り上げられて、定位置に戻された。 「嫌ならなんもしねぇから。いればいいよ」 面倒だし、ってよくわかんない言いわけを付け足すから、少し気が抜けた。 逸らした目は、気まずそうでいて頼りなげ。 惹き込まれて、手を伸ばしそうになって踏みとどまる。
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