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「ですね、スミマセンデシター。ってか腕離してよ」
未だに掴まれたままだった腕を軽く振って主張すると、漸く離れ感触の残る二の腕を摩った。
白いペンキの塗られた鉄の階段がずっと上まで続いてるだけの空間には、私達二人の声が話すたびに木霊する。
「………で、男いるの?」
「だからなんで」
「デートで埋まってるって言うから」
「土日が埋まってる言い訳をデートにしちゃっただけ、迷惑ならもう言わないよ」
面倒くさくなってそう言い捨てた。
矢野さん好きなの知っててなんでそんなこと聞くの、と口の中でぼやいていると。
真上から溜息が落ちてきた。
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