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ふっと吐息が耳の淵にあたる。
腰が跳ねそうになるのをなんとか堪えて誤魔化して。
まとわりつく男の横面を殴ってやろうと振り上げた手は、タイミングよく屈めた腰を起き上がらせて距離を取り、躱される。
腹立たしくて舌打ちしながら言った。
「…もしバレたら『好きだったのに弄ばれて捨てられましたぁ』って全部あんたのせいにしてやるから」
悲劇のヒロインになってやる。
「好きにしろよ。そしたらお前の外面目当ての連中がわらわら言い寄ってくるだろうよ」
うわっ。
めんどくさ!
想像しただけで邪魔くさそうで顔を顰めた。
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