女の専売特許とは

21/29
前へ
/29ページ
次へ
――― あー、びっくりした、嫌われたかと思った。 びびった名残で、手に汗が滲んでいて気持ち悪い。 靴を脱いで更衣室に入ると、後ろでまた先輩の声。 「ほんと、綺麗で素直で。お似合いなんだから。だから……」 「え?」 語尾の方が聞こえなくて、振り向くと先輩がニコ、と笑って片手を振って。 カーテンレールの音がして、薄手の布で更衣室が仕切られた。 ん?と首を傾げながらも、先輩が言い残してくれた「素直」という言葉が嬉しくて。 例えそれが私の盛大な猫かぶりの賜物だったとしても、だ。 先輩が選んでくれたワンピースも「素直」に着てみることにした。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1439人が本棚に入れています
本棚に追加