女の専売特許とは

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先輩と買い物の約束をしてから、数日経った日。 休憩に入り、給湯室の奥にある受付嬢の休憩スペースに向かっていると、非常階段の鉄の扉が半開きになっていた。 覗き込もうとすると、知った顔が扉の向こうにあって、気付いた途端に腕を引っ張り連れ込まれる。 「ちょっと、急に何?間宮……さん」 「お前さ」 ゆっくりと控えめに、それでも重い鉄の扉はガシャンと小さく音がした。 濃いグレーのスーツに少し明るい色のネクタイが目の前を遮って、流れた空気に乗ってダージリンの香りがする。 「外に男いるの?」
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