気づけば落ちているんだそうです。

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矢野さんへの返事には、『それでは今日の仕事上がりに。友達との約束は今度にします』と、上がりの時間を一時間遅く伝えて仕事に戻った。 「で、わざわざ私に時間合わせてまで来たってことは一人で行くのが心細いんでしょ」 「や、心細いっていうか……なんか……」 先輩の彼氏と、二人で会うとかやっぱり良くない気がして。それは私の気にしすぎで、多分、中学、高校の時の経験のせいで慎重になりすぎているのかもしれないけれど。 もう、友人の彼氏に色目使ったとか言われてぐちゃぐちゃの人間関係になるのは嫌だ。 あの旅行の時、ほんの少し、矢野さんと二人で話をしただけで今この現状なんだから……。 「いいよ、一緒に居てあげる。で、私が聞いちゃまずい話なら、少し離れた席で待っててあげるわよ」 「どうも、すみません……」 どうするべきか、事情を全部知ってる原口さんに相談しようと思ったのだが……彼女が一緒に居てくれることを、期待していたのも事実だ。
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