気づけば落ちているんだそうです。

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二人で歩いて着いた先は、矢野さんに指定された会社の近くの洋食屋で、赤いレンガ調の外観が可愛らしいこじんまりとしたお店だった。 店内も赤レンガにランプの灯りが暖かい、女性が喜びそうなお店だ。もしかしたら、相田先輩が好きなお店なのかもしれない。 二人でテーブルで待っていると、すぐに矢野さんもやって来た。 「悪かったな、急に呼び出して」 そう言いながら、隣同士に座る私達の向かいに座り、私と原口さんの顔を交互に見る。 しまった……原口さん連れてきた言い訳、考えるの忘れてた。 慌てて何か口実を作ろうと思ったら。 「あ、すみません。えっと、彼女は……」 「すみませーん、今日倉本さんと約束してたの私なんです。暇になっちゃったから後からでも一緒に飲みに行こうと思ってついて来ちゃって。話する間、もし邪魔だったら向こうの席にいますからご心配なく」 横からさらっと原口さんがそう言って、最後は私に向かって「ね?」と笑いかけてきた。
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