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「日曜のうちに、えらい剣幕で連絡してきてさ……確かめもせずに悪く言うのは良くないって、その日はそれで治まってたんだけど」
参った、と言うように片手で後頭部を摩り、また溜息をつく。
私と原口さんは、黙って続きを待った。
「月曜、気になって間宮に倉本と上手くいってるのか聞いたんだ。ごめんな、倉本。さやかがあんまり、日曜の男と倉本が寄り添って歩いて恋人にしか見えなかったって言うから……そうしたら、間宮の奴が」
何を思い出したのか、矢野さんの口元が可笑しそうに歪んだ。
笑いを堪らえるように、グラスの水をひと口飲むと。
「あいつ、焦ってすぐに倉本のとこに会いに行ったろ。今、抱えてる仕事がちょうど正念場で、かまってる暇がなかったから余計だろうな」
「はぁ……確かに、会いには来ましたけど……」
焦って……?そんな風には見えなかったけどな。
腹が立つくらい余裕で、私を欲求不満扱いしたのだ。
思い出しただけでまたカチンときて、眉根にぎゅっと力が入る。
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