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私の表情を見て、何か感じ取ったのか矢野さんが苦笑いをした。
「……あいつ、物凄いカッコつけだからそんな様子は欠片も見せないだろうけど」
「あぁ、それは確かに」
見るからに。プライド高そうだし。
「で……その後間宮が戻ってきて、その時初めて聞いたんだよ。さやかのせいで、倉本が受付で孤立し始めてるって」
矢野さんが、疲れたように一度深く溜息をつく。
その顔を見て、もしかして、と気がついた。相田先輩を連れてこようとしてたのは……。
「もしかして、先輩を説得してくれてたんですか?」
そう尋ねると、矢野さんは頷いて、また「ごめん」と謝ってくれた。
「いい加減な憶測を吹聴しないで、ちゃんと訂正して倉本に謝れって言ったんだけどな。その話がこじれて、今朝のあの調子」
「すみません……! じゃあ喧嘩って私のせいじゃないですか」
「いや、元はといえば悪いのはさやかだろ。あいつ……思い通りにならないとすぐ拗ねるから」
そう言って、肩を竦めて苦笑いをした。
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