気づけば落ちているんだそうです。

25/40
前へ
/40ページ
次へ
私の表情を見て、何か感じ取ったのか矢野さんが苦笑いをした。 「……あいつ、物凄いカッコつけだからそんな様子は欠片も見せないだろうけど」 「あぁ、それは確かに」 見るからに。プライド高そうだし。 「で……その後間宮が戻ってきて、その時初めて聞いたんだよ。さやかのせいで、倉本が受付で孤立し始めてるって」 矢野さんが、疲れたように一度深く溜息をつく。 その顔を見て、もしかして、と気がついた。相田先輩を連れてこようとしてたのは……。 「もしかして、先輩を説得してくれてたんですか?」 そう尋ねると、矢野さんは頷いて、また「ごめん」と謝ってくれた。 「いい加減な憶測を吹聴しないで、ちゃんと訂正して倉本に謝れって言ったんだけどな。その話がこじれて、今朝のあの調子」 「すみません……! じゃあ喧嘩って私のせいじゃないですか」 「いや、元はといえば悪いのはさやかだろ。あいつ……思い通りにならないとすぐ拗ねるから」 そう言って、肩を竦めて苦笑いをした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1282人が本棚に入れています
本棚に追加