気づけば落ちているんだそうです。

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「なんですか!」 「百面相してないで、今は仕事中だし。まぁ落ち着きなさいよ」 言いつつ、原口さんの顔は心底楽しそうに歪んでて、面白がっているのは間違いない。 「話はお昼に聞いてあげるから、とりあえずお手洗いで化粧直しておいで」 原口さんの言葉は、ありがたかった。今、化粧室も必要だったし、何よりこの苛立ちとか恥ずかしさとかをぶちまける場所が欲しかった。 相田先輩に二股だの騙してるだのと疑いをかけられ、話もしてもらえない状態で、今度は亨にまで、まるで構ってもらえない寂しさから男捕まえてきたみたいな言われ方をしたのだ。 怒って当然でしょ、と脛を蹴っ飛ばして逃げてきた経緯を、お昼休みに余り社員の来ない、会社から離れた通りにある定食屋で話をした。 「そもそもその辺りの会話、おかしくない?まずは間宮さん、日曜の男は誰だとか怒らなかったの?」 「あっ……えっと……機嫌は悪かった、けど」 「いやいや、それで済むの?付き合ってるんだよね?」 「う……ん」 勢いに乗って話しすぎて、ボロが出た。 それに何より、もう誰かに本当のことを話して聞いて欲しかったのだと思う。
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