気づけば落ちているんだそうです。

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「本気で怒ってた。大事にされてるんだな。間宮、結構ちゃんと倉本のこと見てるな、と思うよ」 そう言って、反応できない私に手を振って矢野さんは背を向けた。 平日のオフィス街、就業時間を過ぎれば駅に出るまでは急激に人が減る。もう夜九時を過ぎ、通り過ぎる人も少ない中、私と原口さんは矢野さんを見送った。 「大事にされてるんだって」 原口さんが、私を肘で小突きながら、言った。 「……そんなわけないし」 欲求不満扱いされたし。全然そんな風に見えないし。 好きって言葉も薄っぺらいし、信じられるはずないし。 「ぷっ……倉本さん、すぐ赤くなるよね」 「うるさいな、もう」 原口さんは、すぐ揶揄うよね。 私は彼女を横目で睨むが、真っ赤な顔ではきっと怖くもなんともない。 「間宮さんのこと、はっきり好きって言っちゃって、良かったんだ? もう『ほんとは付き合ってません』なんて言えないよ」
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