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その後、原口さんの手に引っ張られて飲みに向かい、また焼き鳥屋で私はクダを巻き。
「相手の気持ち気にするなんてつまらないって原口さんは言ったけどさぁ! 亨の場合ぜんっぜんわからんもん! なんなのあいつ!」
「まーまー。恋なんてそうそう上手くいかないもんよ」
「ちゅーちゅーちゅーちゅー、キスばっかしたがるくせに、でも、好きとかいってくれないし。あ、あれはノーカウントだからね!」
あんな、かるぅーい言葉、告白とは絶対受け取れない。
「一筋縄ではいきそうにないわよね。ま、そういうのは女友達に愚痴って吐き出して、思いつめないのが一番よー」
私が聞いてあげるからさー。
そう言って、私のグラスに次々にビールを注いでくれる。
「倉本さんはさー……ってか、春妃でいい?名字めんどくさい。私は美佳でいいよ」
「え……うん。……美佳」
私はその日、なんだか亨に負けたような気さえする悔しくて苦い恋心と、初めて心許せる女友達を手に入れた。
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