1282人が本棚に入れています
本棚に追加
原口さんが誘導上手な部分も、ある。
結局洗いざらい暴露させられることになった私は、昼だけでは話しきれず仕事上がりに焼き鳥屋まで連行された。
「はー……まさか、偽装とは。まさかまさか」
何を感心してるんだか呆れてるんだか。
ネギ間串を頬張りながら、原口さんが眉根を寄せた。
私はビールジョッキを手に、白い泡を睨みつけている。
「間宮さんとか、そんな風に見えなかったけどなぁ」
「でも、亨は相田先輩が好きなのは確かよ。なのに、なんかキスばっかしたがるし。アノヒトほんと全然わかんない」
言ってた、よね?いや、言ったのは私だったかな。
でも、亨は否定しなかった。それは間違いない。
「いやいや。私にはあんたら二人共わからんわ」
「う……ですよね」
「だってさー」
「ちょ、危ないでしょ、やめてよ」
にゅっと目の前にネギ間串が突き出されて身体を引いた。
狭いカウンターにひしめき合うようなオヤジ臭い居酒屋だが、ざわついていてそれほど話を聞かれるような気もしないし、何より、焼き鳥が美味い。
最初のコメントを投稿しよう!