気づけば落ちているんだそうです。

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「今日はほんとに意外なことばっかだなー」 原口さんが、食べ終えた串を竹筒の中にぽいっと捨てた。 「倉本さんっていつもニコニコしてるくせに、イマイチ壁の感じる人でさ。他人のことは我関せず、マイペースなタイプなのかと思ったのに」 「…間違い、ではないけど。女同士の付き合いとかが、怖くて中々できないだけよ」 「そう。それ。予想と真逆。他人の目気にしすぎて動けないタイプだったんだぁ」 「……」 図星を突かれて、拗ねた私は頬杖をついて外方を向いた。 原口さんの物言いは、歯に衣着せない、だから時々、痛い。 「別に何言われたって気にせずに、ほんとのこと言って堂々としてればいいのに」 そんな彼女は私とは正反対だから、それが少し、羨ましいと思った。 だが羨んだところで、それで彼女のようになれるくらいなら、端からここまで猫を被るほどに人見知りをこじらせてはいないのだ。 「ねぇねぇ。今でもやっぱり矢野さんが好き?」 そしてコロコロ変わる話に振り回されて、ポロポロ本音を引き出してしまう。 少々疲れるが、でも不思議と嫌いではなかった。
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