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よほど疲れているのか、亨は何度か欠伸を繰り返した後。
「絶対、好きだって言わせてやるからな。覚えてろよクソガキ」
まるで寝言のように呟いて、すぐに寝息に変わった。
耳を寄せている彼の胸元が、静かに上下する。
「とおる」
小さく呼んでみた。
反応がないことを確かめて、私は彼の胸に頬を摺り寄せて彼の言葉を噛み締める。
『好きだから、だよ』
その響きが、じわりと胸にしみて涙が零れそうになる。
たったこれだけの言葉が、こんなにも心を震わせるなんて知らなかった。
身体を起こして少しだけずり上がり、彼の端正な寝顔を見下ろしながら。
「……私も」
彼の頬にキスをした。
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