第1章

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式が終わって、教室に戻る。花道で下級生に貰った花を抱えて、女の子は半分くらい泣いてた。あと、酒井くんも目が真っ赤だった。 「今日は本当にお疲れ様」 最後のHR.。けいちゃんはそんな言葉から始めた。 「今日と言わず、1年間、お疲れ様。僕は新米教師で、授業も普段のHRも進路指導も、到底君たちの満足行くものではなかったと思います。けど、こんな僕を担任として受け入れてくれて、本当に嬉しかったです。 僕にとっては、実りの多い、かけがえのない1年になりました。今日でこのクラスは、それぞれが新しい進路に向かって離れ離れになるけれど、辛い時嬉しい時、ふとこのクラスであったことを思いだしてくれればいいな、と思います。 君たちは巣立っていくけれど、僕はここにいるから、もし、何かあったら、いつでも立ち寄って欲しい。 今日はおめでとう、そして本当に1年間ありがとう」 けいちゃんはそう言って、頭を下げた。 あたし、やっぱり先生としてのけいちゃんも、すごく好き――そう、思った。気を使う場面ばっかりだったし、見たくないものも見ちゃって、ヤキモキした日もあったけど、今、こうして思うのは、このクラスで、けいちゃんが担任で良かった――それだけ。 けいちゃんの先生としての最後の姿、目にやきつけたいのに、滲んじゃう。
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