第1章

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朝、いつもより早く学校に行ったのに、教室はもう賑わってた。 進路の報告しあったり、写真撮ったり、プロフ帳交換したり。いつもと同じようで、全く違う。 「春日は?? ?大学決まった? 酒井くんに聞かれて、第一志望に受かったことを伝えると、酒井くんにまで驚かれた。 「お前、すげー。センターの点数俺より低かったのに」 みんな、あたしが第一志望通ると思ってなかったらしい…すみませんね。あれはあたしの中でも黒歴史。 「酒井くんは?」 「俺も第一志望じゃないけど、受かったぜ?? ?春日の大学とうちの大学、最寄り駅同じ路線なんだよな。合コンとか、しよーぜっ」 「えっ? 合コン?」 それは、どうだろう。けいちゃん、怒らないかな? 「せーっかく、大学入ったんだから、遊ばないと!? ?俺、絶対彼女作るから、協力してよ、春日」 手を合わせてあたしを拝むように懇願する酒井くんに、周囲から笑い声が飛んでくる。…そりゃそうだ。フェイクだったとしても元カノにそんなこと頼む人いないよ。 チャイムが鳴ってけいちゃんが教室に入ってくる。ああ、こんな風に教室でけいちゃん待ってるのも、今日で終わりなんだ。当たり前に思ってた行動が、全部大切な儀式みたいに思えてくる。 4月の始業式とは全く逆の理由で、泣きそうになった。 「ちょっ、千帆、まだ泣くの早いよっ」 俯いてたら麻衣ちゃんが早とちりして騒ぐ。 「まだ泣いてないよっ」 「春日、泣くなら、俺の胸で泣いていいよ」 「…酒井は最後の最後まで、おばかキャラなのな」 「あ、ひでっ。遠藤ちゃんは?? ?泣かないの?? ?俺、遠藤ちゃん泣いてるのみたら、泣いちゃうかも」 「お前がいなくなったら、こっそり嬉し泣きでもしておくよ」 けいちゃんと酒井くんの子供っぽいやりとりはいつものことだから、皆くすくす笑ってた。 大切な思い出。かけがえのない時間。 終わりが刻々と近づいてくる。 卒業生に講堂への入場を促すアナウンスが流れて、あたしたちは一斉に立ち上がった。
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