3.旅の始まり

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慌てて寝たふりをしようと思ったが何か違和感があった。 よくよく考えると水を流した音がしていない。 こいつ、トイレも流さないのか。 さすがに佑志もこれには黙ってはいられなかった。 「おい、お前ちゃんと流したの?」 「流したらみんな起きちゃうやろ。明日の朝流せばええやろ。」 「いや、そーゆー問題じゃないだろ」 あまりにも馬鹿げた翔平の返答に、佑志はつい吹き出してしまった。 「なんやねん。」 暗闇の中だったが翔平も口元が緩んでいるのが見えた。 初めて見た。翔平が笑っているところを。 ずっとこんな感じだったら普通の奴なのに、と思いながら佑志は翔平に話しかけた。 「お前、ずっと起きてたの?」 「あんなはしゃがれて寝れるわけないやん。何がダウトやねん。」 「それは悪かった。みんな嘘つくのめっちゃうまいんだよ。あ、喜多川を除いてな。」 「あいつの笑い声ずっと聞こえとったわ。」 「だってあいつ自分が嘘つくときいちいち笑うんだもん」 「それやのにお前4回も負けたん。」 「いや、3回だし。ってゆーかお前めちゃめちゃ起きてんじゃん。」
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