一章★夜叉★

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俺は14歳になった。生まれてから、まだ14年しか経ってへん。 人生たぶんやけど、まだまだ先は長く続きそうや。 でも、長く続くかどうかは分からへん。もしかしたら、明日にでも事故で死ぬかも知れんから。 そんな事を考えたら、自分の人生の未来まで考えることがアホらしく思える。 だから、俺は先の事なんて、何も考えんと過ごすことに決めてるねん。 俺は今、母親と二人暮らしの生活や。いわゆる母子家庭って事。 俺がまだ3歳ぐらいの頃に、両親は離婚した。原因は父親の酒癖の悪さから来る暴力やってさ。 確かに、俺はまだ3歳やったけど夜になるとオトンは酒を飲み出し、ゴチャゴチャとオカンにいちゃもん付けては暴力振るってたんを、ビクビク脅えながら別の部屋から、ふすまの隙間から見てたんを、今でもハッキリ覚えてる。 ホンマに怖かった。オトンが家におらん時が唯一安心できる時間やった。 この時間の時だけ、平和な気持ちでおれた。 そういう事もあって、愛想を尽かせたオカンは、オトンと離婚しはった。 それから女手一つで俺をここまで育ててくれはった。 俺は何でこんな家に生まれたんやろう。って時々思う。 オカンは家計を支える為にスーパーのレジと工場作業のパートの掛け持ちで朝から晩まで働きに出てるから、帰ってくるんがいっつも夜遅いねん。 ほやから、俺は毎朝オカンから千円貰って、晩飯代にしてる。 毎日の晩飯は決まってコンビニ弁当や。ここ数年、オカンの手料理なんか食べたことあらへん。 別に食べたいと思わんけど・・・っつうのは少し嘘やけど。まぁ働いてんにゃから、しゃーないわな。 仕事から帰ってくるオカンはウザイ。勉強しろ勉強しろ言うてきよるから。
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