-花と裕也の始まり-

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小学生の時の話。 「ゆう君、ドロケーしよう!」 「いいね。皆もやろうー」 お昼休みに入るなり、良く遊ぶ友達に声をかけて教室を飛び出す私達。 仲のいい友達は、ゆう。 このときはまだ”ゆう君”と呼んでいた。 ゆう君と私の両親が友達だったからか、物心ついた頃には一緒に遊ぶことが日常だった。 お家にお泊りもしたことあるし、一緒に旅行に行った事もある。そんな仲。 幼稚園の頃のゆう君は私と同じくらい活発な子だった。 男女に限らず友達が多く、お調子者ではなかったけど皆からも人気者だった。 そんな彼がいたから、男の子や女の子を何人も集めて遊ぶという事は、私にとっては普通の事だった。 でも、それは当たり前じゃなかったみたい。 「ねぇ、花ちゃん」 「ん、なあに?」 小学校3年生になったある日。 いつものようにゆう君達と遊び終わった後、女の子の友達に呼び止められた。 「花ちゃんって、ふじさき君と付き合ってるの?」 「え?」 突然の質問に戸惑った私。 女の子はこの頃にもなれば、恋愛ごとに興味が出てくる。 私も、この時には「好き」とか「付き合う」って言葉も意味も何となく分かってた。 …いつ知ったのか、自分でも知らないんだけど。 「付き合ってないよ?」 「そうなの?あんなに仲いいのに」 「でも、好きなんでしょ?」 私が答えると、不思議そうにする女の子。 別の子も混ざってきて私に聞いてくる。 好き。 この子が聞きたい意味は分かってた。 異性として好きか、そうじゃないかだ。
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