-花と裕也の始まり-

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「好きじゃないよ」 私は正直に答えた。 多少の照れ隠しもあった。 だけど、私は彼の事をまだ異性として見てなかった。 ただ一緒にいて楽しい友達だった。 「本当?」 「本当だよ?」 嘘は無かったから、確認にもすぐ答えた。 そんな態度を見て、その女の子納得したみたい。 それから、一度2人で顔を見合わせて、私にこんな事を言ってきた。 「だったら、あんまり2人で一緒にいないほうがいいよ?」 「え?何で?」 私は意味が分からず首を傾げた。 好きじゃなくっても、一緒に居てもいいんじゃないの? 今までずっとそうだったんだし。 「花ちゃんが、藤崎君と付き合ってるって思われちゃうからだよ」 「もう何人か噂してるよ?」 「え…」 私の耳にはそんな噂が入った事は無かったので驚いた。 同時に、心に不思議な怒りが生まれた。 「だから、これからは女の子とだけ遊ぶようにしなよ」 「そうだよ。私達と一緒に遊ぼう?」 この子たちは、親切で私に教えてくれたんだと思う。 私が他の子達に茶化されたりしないように。 高校生の私なら、それが分かったはず。 だけど、この時の私は自分でもよく分からない怒りしか感じなかった。 「…別にいいじゃん、そんなの」 私は、ゆう君と遊びたい。 彼と遊ぶのは楽しい。 ただ、それだけだった。 何とか怒りを抑えつつ、彼女たちの提案に対抗する。 それが、逆に彼女達を怒らせてしまった。
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