-花と裕也の始まり-

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この時期の私は、既に女の子グループの洗脳…「男の子と仲良くしたら噂される」と言う思考が固まっていた。 だから、呼び出された屋上への階段へ行く時も、他人の目線が無いか最新の注意を払っていた。 「何かな?」 「えっと…」 やっとたどり着いた目的地だけど、さっさと終わらせたかった。 こんなところ、誰かに見られたら…告白だと思われちゃうから。 しかし、呼び出した本人はどうも歯切れが悪く、何かを話そうとするけど話さない。 最初は首を傾げていた私。 時間がたつにつれ、無意味な焦りから急かすようになってしまう。 「…用が無いなら帰るよ?」 「え、あ、待って。用はあるんだよ…」 そう言われてしまえば帰れず、少し不機嫌そうにしてしまう。 相手はそれを感じ取ったのか、焦ったように言葉を選んだ。 「お、俺!花ちゃんと、もっと仲良くしたくって!」 「……」 彼の言葉に、私は警戒してしまった。 仲良くなんてしたら、絶対に皆に噂されると思った。 そんな幼い考えで。 私は、友達を一人失う事になる。 「…私は、仲良くしたくない」 「え?」 さすがの男の子も唖然としていた。 「仲良くしたくないって言ってるの!もう私帰るから!」 「……」 彼をおいて、私はすぐにその場を立ち去った。 言い訳をすると、私は今の友達から仲間外れにされたくなかった。 その一心で、彼が傷つく事も考えずに言ってしまった。 彼を傷つけた私の心も、確実に傷ついて痛かったけど。 これからも毎日楽しく過ごせるんだから、何かの間違いだと思うようにした。
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