【もうひとつの】４．背伸び-２

背伸びー２

私っていうのは本当に単純で単細胞。

部長のその言葉を聞いただけで、急に褒められた子供みたいにはしゃぎだした。

私は琴美や周りのみんなと話しながら、視線をちらちら部長に向けた。

お酒が進んで、みんながもう最初の席には着いていなかった。

室井さんは周りに気を遣って、みんなの席を転々と移動していた。

みんなにお酒を勧められながらも、室井さんは自分の持っていたティーサワーのグラスがなかなか空にならず、ゆっくりなペースを保っていた。

お酒の弱いことを自覚していて、なおかつ、その弱い部分を他人には見せないようにしているみたい。

…なんだか…そんな風にされると…

…見たくなっちゃう。

…室井さんて、酔うとどうなっちゃうんだろう？

って、女の私が興味を抱いてどうする。