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俺が手を伸ばして段ボールを降ろすと、彼女は箱を開けて中の資料を探った。
そして、その中の一つのファイルを取り出すと、また段ボールを戻すように言った。
「ありがとうございます。越石さんも背が高くていいですね。」
何気ない言葉なのに、
彼女の言い方に何か妙な違和感を感じた。
そして、俺は
その違和感を確かめずにはいられなくなった。
「……今、誰かを頭に思い描いてました?」
「……え?」
「越石さんも。"も"って。」
彼女は少しだけ目を見開いた。
けれど、すぐに首を振る。
「特に……意味はないんです。ごめなさい」
彼女の目が少しだけ泳いでいたような気がした。
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