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彼女の視線とほんのり赤いままの顔を気にしながら、俺はもう一つ気になっていたことがあった。
……彼女と二人きり……
こんなチャンスは滅多にないだろう。
俺は自然な会話を装って、思い切ってそのことについて聞いてみた。
「室井さん、僕のこと、さっきから“さん”付けで呼んでますけど、僕おもいっきり年下ですけど。」
「……あ、そうかな。ごめんなさい。男の人のことはみんなさん付けで呼んでるから私は違和感ないんだけど……嫌?」
「…いえ。僕のこと、さん付けなんかで呼んでくれる人いないですから逆になんだかうれしいです。営業でもみんな子供扱いですし。室井さんは……僕のこと、男の人……男って、思ってくれたってことなのかな?」
自分でもよくこんなことが言えるものだと驚いた。
あの室井さんを目の前にして。
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