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資料を取り出した段ボールを棚に戻し、作業が終わったことを彼女に目で合図する。
その瞬間、俺は自分が年下だということを一瞬だけ忘れる。
忘れた……フリをする。
「男と二人きりでこんなところにいるのは危険かもしれませんよ?」
少し縮まった俺との距離に彼女がわずかにのけ反って、まばたきを速めていた。
「そ、そろそろ……出ましょうか。」
彼女が俺に背を向けて出口に向かう。
俺はそんな彼女を見て口元を緩めた。
彼女が少しでも俺を男として意識したことがわかったからだ。
彼女がドアノブに手を掛けると、俺は思わず彼女の手に自分の手を重ねていた。
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