年下の男

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俺はデスクに辿り着くまでに、何度心の中でため息を繰り返したことか。 何か嫌味を言われるに決まってる。 「やけに遅かったな。」 …ほらな。 「すみません。室井さんと書庫に行くことになって。お願いしたいデータの資料がそこに保管されてるみたいです。彼女がぜひ見ていったらって言ってくれたので、断るのもアレですから。」 少しの脚色は構わないだろう。 嫌味が続くよりずっといい。 「へえ。書庫ね。彼女と二人きりでどうだった?」 「ど、どうだったって……どうもこうもありませんよ。」 「でも、平静じゃいられないだろ?」 俺は少し驚いた。
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