年下の男

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すると、成瀬さんが鼻で笑った。 「ちっちぇ、男。バカかお前。」 思わずカチンときた。 「どういう意味ですか?」 「そのままの意味だよ。」 俺は構わず成瀬さんを睨みつけていた。 「お前、人を見る目ねえわ。……彼女、人を新入社員だからとか、年下だからとか、そんなんで人を判断するように見えんのか?」 「え?」 「お前、そんな風に思ってんなら彼女に本気になるんじゃねえよ。せいぜい高嶺の花を眺めてろ。俺、これからロビーで客と待ち合わせだから。お前も同行させてえけど、その資料が優先だ。じゃ。」 成瀬さんは席を立った。 俺はそんな彼の背中を黙って見送った。
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