年下の男

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何してんだ……俺。 正直がっかりしていた。 彼女とは前回の定時後でなんとなく親しくなれた気がしていたし、彼女との会話も楽しみにしていた。 「ごめんね。わざわざありがと。」 彼女はそう言いながら書庫のドアの鍵を開けた。 彼女との時間が終わるんだ。 「いえ……。」 俺は小さく返事をして、彼女が開けたドアから書庫の中に入った。 書庫に入ると俺を誘導するように彼女が俺の前を歩く。 「ごめんね。この列の……あ、しかも一番上だ。」 その場所に立ち止ると彼女は申し訳なさそうに眉を下げて謝った。 謝まられることなど何もしていない。
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