笑顔

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「これ…課長が持って行けって。」   「…何?」 「さあ…?」 私は渡された資料をパラパラとめくった。 渡されたのは私が総務課長に昨日までに回収するように言われていた書類だった。 「あ、これ!?あ、あ、どうしよう。」 「なんか、ヤバいんすか?」 「…う。うん。少しね。昨日までの締切だったんだけど、私も忘れてた。やだ、課長に怒られる」 私は慌てた。 その横で越石君がくすくす笑う。 「高遠さんもそういうことあるんだ?」 「あるある。私、忘れっぽいから結構ちゃんとメモに残しておかないとダメなんだよね。」 「へえ…そうですか。メモ、書いてなかったんですか?」 「…書くのも…忘れてたのね。」 私は自分に笑った。 すると 越石君はさっきよりも大きく笑った。 「…面白いっすね。あ、ちなみにその笑顔、いつもの高遠さんのです。」 「…え?」 彼はイスに座ったままの私を立ったまま随分高い位置から見下ろしていた。
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