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一方ではどこか気落ちするけれど…
私は珍しく自分が素直になれたことに満足し、思わぬことを口にしていた。
「ね、今度ご飯食べに行かない? ふふ。室井さんのことも聞いてあげる。」
「え?」
彼の反応を見て、やっと自分の発言の不自然さに気付いた。
「あ、あ、ごめん…私ってば。ごめん、気にしないで。」
「…いや。いいんですけど…。」
もう…私ってばバカすぎる。
真っ赤な顔で伏せる私に越石君の声が降ってくる。
「じゃあ…聞いてください。」
「…え?」
「今週、金曜どうですか?」
「…大…丈夫。」
彼はもうドアに歩きかけていた。
そして私を振り返る。
「ちゃんとメモしといてくださいよ。」
これが…
彼との初めての約束だった。
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