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料理が届いてテーブルが賑やかになる。
「さ、今日は何でも聞いてあげるからね」
私は豆腐のサラダをそれぞれのお皿に取り分けながら切り出した。
そして、サラダのお皿を越石くんの前に置いた。
「何でも…って、そんなに話すこともないですけど…」
「何言ってるの。恋のお悩み、あるんでしょ?」
「“恋”ねえ。なんだか現実味がなさ過ぎて、恋って感じがしないですよ」
「…そうは言っても好きなんでしょ?」
「そうですけど…高嶺の花。高遠さんにはわからないでしょ。ずっと見上げてるだけの存在」
ずっと…
…見上げてるだけの存在。
「…わかるよ」
私は薄紫の炭酸を再び口に運んだ。
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