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「…え?」
越石くんの反応に、私はにっこり微笑んだ。
すると、彼は顔を赤らめて一口飲んだビールのグラスを少し乱暴にテーブルに置いた。
「…そんなに簡単にわかるなんて言わないでください」
彼は私の言葉と笑みに勘違いをしたのだろう。
…簡単に返事なんてしていない。
「…わかるよ。『高嶺の花』。私の場合は背伸びしてもやっぱり届かなかった」
「…え?」
「私も…ずっと好きだったの。『高嶺の花』を。誰もが憧れちゃう…素敵な人だった」
越石くんは目を丸くして聞いていた。
私がこんな話をするとは思っていなかったのだろう。
私だって…
…するつもりもなかった。
なのに、
私の言葉は止まなかった。
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