笑顔

24/26
前へ
/26ページ
次へ
「越石くんはさ…年下だから…とかこだわらない方がいいと思う。私は…背が低いとか…顔が童顔だとか…自分に引け目ばっかり感じてたから、変な背伸びもしちゃって…」 自分の滑稽な姿を思い出す。 そして、 あの最後の夜のことも。 「でも…最後の救いはね、その人が…素の私の部分、私の笑った顔がいいって言ってくれたこと。あの時は…もうその恋が終わる瞬間だったのに…うれしかった」 越石くんは黙って私の話を聞いていた。 …あ、また、私が話しちゃってる…。 「ごめん。また私の話だね」 そう言って笑う。 笑って……驚いた。 私… 越石くんといると何でも話しちゃう。 …話せちゃう。 失恋の話なんて 恥ずかしくて隠しておきたいことなのに。 誰にも言いたくなかったのに。 なのに、私は 心を開くように 彼にすべてを話していた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

331人が本棚に入れています
本棚に追加