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「高遠さん」
「わっ!」
突然の声に体は跳ねて、心臓は縮んだ。
声の主は生意気な年下くん……
越石くんだった。
「もう、驚かせないでよ!」
私は今日の出来事のこともあって、ふくれっ面をしながら彼を軽く睨んだ。
そして、片付けの手を再び動かした。
「何をそんなに怒ってるんですか?」
「怒ってない。」
「怒ってるじゃないですか。」
「怒ってない!」
私はムキになって彼の前に自分の顔を近づけて無理矢理に笑顔をつくった。
「こんなに笑顔よ。」
すると、彼は真剣な表情のままで浅くため息をついた。
「そういうの、高遠さんの笑顔って言わないんですけど。」
私の手が止まった。
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