ローヒール

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あの日から 私は背伸びをするためのハイヒールをやめた。 わずかな高さのローヒール。 だけどそのおかげかフットワークが軽くなり、仕事もプライベートも気持ちまでもが軽くなったみたいだった。 「高遠さん、これ頼んでもいい?」 「オッケー!」 「高遠さーん」 「はーい!」 なんだか最近、忙しくなってきてるかも。 そんな私にさらなる仕事が舞い込んできた。 「高遠君、ちょっといいか」 そう私を呼んだのは西島部長だった。 前よりも… もっと下から見上げているせいか、 部長の顔が遠く感じた。 …存在さえも、私からは遠いのだ。 だけど、私は少しもがっかりなんてしていなかった。 ただ、それを実感しただけ。 「はい。大丈夫です」 そう答えた私にミーティングルームに来るように言って、部長は一度経理室に戻った。
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