夏の入り口

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今回のプロジェクトは、俺にとっては本当に貴重な体験になるだろうけど、もっと違う意味でも ……貴重だった。 室井さんと仕事の上で関わりが持てることだ。 今回のプロジェクトでは彼女にも重要な役割がある。 森田部長に言わせれば、お色気作戦らしいけど、そんな下品な言い方は気に入らない。 ベッドの上で俺は思い出していた。 明日使用する会議室をセッティングしている時だった。 思いがけず、室井さんが入ってきたのだ。 彼女は成瀬さんと言葉を交わし、それが終わると俺にも声を掛けてくれた。 「越石さんも、頑張って下さいね」 彼女の柔らかい笑みに顔が瞬時に熱くなる。 それに返事をしたけれど、思わず声がデカくなりすぎたかもしれない。 彼女からその言葉をもらって気合が入った。 俺に出来ることはほんの少ししかないけれど、 成瀬さんを精一杯サポートしてやろうと思った。
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