夏の入り口

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その後、いつもどおり今日の予定を中心に始業のミーティングをすると、森田部長と成瀬さんと俺はロビーに向かい、他のチームのメンバーは客人を迎える会議室に移った。 ロビーに向かうエレベーターの中で森田部長が室井さんの名前を口にした。 「とにかく、室井のお色気作戦が成功すればこっちのもんだ」 俺は思わず口を挟んだ。 「…部長、それ、セクハラですよ」 「そうかあ? 俺は会社のためにこの秘策を考案したんだ」 「…秘策ですか…」 そこで、森田部長の顔つきが変わった。 「そうだ。何でもはじめが肝心だ。出迎えは室井に任せておけば問題ない。話しが始まったらとにかくスタートが肝心だ。はじめの一言で惹きつけられれば絶対に上手くいく」 その一言で気持ちが引き締まった。 俺は背筋を伸ばしたままエレベーターを降り、ロビーの受付近くで立ち止まった。 しばらく待っていると、向こうから… 彼女がやって来た。
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