夏の入り口

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そうこうしていると、無口な成瀬さんの元に受付の藤森さんがやって来て、成瀬さんに話しかける。 藤森さんと成瀬さんの会話はほとんどケンカ越しに聞こえるけれど、成瀬さんの強張った表情はいつの間にか消えていた。 社内でこの成瀬さんにこんな風に話せる女性がいることに驚いた。 彼女が受付のカウンターに戻ると同時に、室井さんが俺たちの正面に立つ。 「今日はよろしくお願いします。行ってまいります」 彼女は一礼して大きなガラス張りのドアの向こうに移動した。 とうとう… 本番が始まるらしい。 俺は深呼吸を一つした。
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