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彼は「はい」と頷いた。
「…何?」
「なんか最近忙しくて、あっちの方のミーティングも任せっきりだし…申し訳ないな…と思って…」
「そんなのいいよ。今は大事な案件に関わってるんだし、越石くんが大変なのはみんなわかってるから」
「…俺なんて、何も出来ないんですけどね」
「何言ってんの? 今回の件で営業部の中で新入社員の中からチームに入れたの、越石くんだけでしょ? 何も出来ない人を入れたりしないわよ」
「…そうでしょうか」
「そうだよ。何なの? もう明日じゃない。今更何を言い出すのよ」
「…明日…って思ったら緊張してきて…」
「あのねえ。越石くんは新入社員なんだから、勉強させてもらうの。こんな機会滅多にないし、入りたくても入れなかった人もいるんだろうし。緊張なら後回しにしなさい。チームを引っ張ってる人の方がよっぽど緊張してるわよ」
「…そうですよね」
「そうよ」
越石くんはそこで大きく息を吐き出して身体の力を抜いた。
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